通信室

アルコール依存症からの回復 Eさん第5話

2023.06.16

<私は、こうしてアルコール依存症から回復した>

 

ケース⑤女性 Eさん

 

第5話~入退院を繰り返していた頃 ~

入院した病院の精神科病棟は居心地が良く、若い患者さんが多く雰囲気も明るかった。本を読んだりオセロをしたりしてゆっくり休養させてもらった。主治医の先生からは抑うつ状態と説明された。飲酒の問題について話したが「あなたのお酒はやけ酒なので家を出れば良くなる。しばらく家を出なさい」との返答だった。1回目は2カ月で退院。病院から紹介された施設に退院した。入所した施設は日中に畑で農業をして生活をするところだった。病気や障害を抱えて頑張っている人が多く楽しかった。外出は自由で近くの酒屋に歩いて酒を買いに行き朝からこっそり飲んでいた。施設で酒を飲んではいけないというルールは無かったが、飲んでいるのは私だけだった。施設に気が短い女性が一人いて、気に入らない事があると長時間訴えてきてそれだけがストレスだった。そのことを通院の時に主治医に話したら2回目の入院を勧められた。

入院すると顔見知りが多く残っていて快適だった。1回目と同じようにゆっくりでき2カ月で施設に退院した。再度施設に退院してから、量は少なかったが毎朝酒を飲んでいた。畑までバスで移動していてバスの中で「酒の匂いがする」と「Eさん飲んでない?」と言われることが度々あった。

仕事はできていたが、施設に払う月々のお金の事や今後の生活の事で強い不安を感じるようになり、気持ちが不安定になった。帯状疱疹も出て広がっていた。通院の時に「ストレスが大きい」ということで、3回目の入院を勧められた。

2カ月入院し今度は家に戻る事にした。退院後は毎日朝から飲み仕事に出ていた。飲酒状態で主人と言い争いになり私が包丁を握った。その後の通院で主治医が変更になっていてその先生に「お酒を飲んで、主人とケンカになり包丁を握りました。」と話したら、「アルコールの問題を先に治療した方が良い」と言われ他の精神科病院を紹介された。その日すぐにその病院を受診すると担当の先生に「今すぐ入院してください。」と言われた。最後に飲みたかったので「明日にしてください。」と伝えたら「今日一滴も飲まない約束ができるなら。」と言われた。それまで飲む気でいたのになぜか「約束を守らないとダメだ」と思った。無事に1滴も飲まず入院することができた。

 

[ARPスタッフのコメント]

アルコールの飲み過ぎは200以上もの病気やケガの原因になりうると言われています。アルコールに関する病気として肝硬変や胃潰瘍など身体疾患がイメージされやすいですが、うつ病や不安障害など精神疾患との関連も大きいと言われています。気分の落ち込みや強い不安など精神疾患の症状の原因がアルコールであることもあり、アルコール依存症を治療することで他の精神疾患が良くなるケースもあります。