通信室

アルコール依存症からの回復 Eさん第4話

2023.06.03

<私は、こうしてアルコール依存症から回復した>

 

ケース⑤女性 Eさん

 

第4話~初めての精神科入院まで~

酪農の仕事を中心にしながら、畑でじゃがいもを作って売りに出していた。畑に関しては舅と姑も一緒にやっていたが、酪農は手伝うことは無かった。舅と姑の命令で面倒なことは押し付けられ、酪農の売り上げも舅に取られていた。夫は仕事をしていたが熱心でなかったし、舅、姑から守ってくれることは無かった。精神的に圧迫されていた。朝からキッチンで料理を作りながら焼酎を飲み、昼は水筒に入れた焼酎を畑で飲み、夜はまた料理をしながら焼酎を飲んでいた。毎日ずっと体にアルコールが入っている状態だった。唯一の救いは3人の子どもが大きくなり、手がかかっていなかったこと。むしろ私がひどい状態だったのに、本当にみんな良い子に育ってくれたと思う。

50歳くらいで一度、以前かかったことのあった精神科病院をまた受診した。先生に「お酒をひどく飲んでしまうんです」と話したら保健所に行くように勧められた。「保健所では解決しない」と決めつけ行かなかったし、病院にも行かなくなった。「精神的にも悪いし、お酒の事も悪い」というのはわかっていたが、どうすればよいか分からなかった。

特に姑の嫌がらせがひどくなった。私に財産を回さないように親戚の1人を養子に迎えるというあてつけもあった。辛さが続き保健所に行くつもりが、間違って似た名前の違う相談機関に行ってしまい、これまでの事を話した。事実関係を調べるためにその相談機関が姑とやりとりをした後、相談機関が敵に回り「あなたが酒ばっかり飲んでいるからでしょ、あなたが悪い」と責められた。

57歳の頃、とうとう仕事ができなくなり、飲んで寝るという繰り返しが2週間続いたところで役場の保健師さんが訪問してくれ、精神科病棟を持つ総合病院を紹介してくれ受診。そのまま入院させてもらう事になった「やっと居場所があった」と感じすごく安心した。入院した日から3日間眠り続けた。

[ARPスタッフのコメント]

アルコール依存症の治療に関して、治療が必要な人の受診率が低い事が問題になっています。

アルコール依存症は飲酒をコントロールできなくなる脳の病気であり専門的な治療が必要になります。本人も病気である事を認める事ができず(否認)、周囲に病気と理解されず意思や性格の問題とみなされやすい特徴があります。この2つの特徴が、治療につながるのを遅れさせる要因にもなっています。病院や保健所などで家族だけでも相談することができ、病気の知識を得たり本人を治療につなげる助言を受けたりすることもできます。