通信室

受診を迷われている方へ

2021.08.04

「こういう悩みを抱えているけど、受診した方がいいのかな?」「このくらいで受診するのはかえって変に思われるんじゃないか?」など、お問い合わせや受診の相談において本人や家族からこのようなご質問をいただくことがあります。受診のタイミングや必要性でお悩みの方、判断に迷われる方も多いのかもしれません。そこで、どのような場合に受診されるとよいか架空の事例を紹介していきたいと思います。

 

ケース1 「周期的に気分にむらがある夫についての相談」

 

夫婦で自営業をしているが夫の気分の浮き沈みが激しい。気分がいいときには、積極的で仕事にも熱心に取り組むことができる。ただし、気持ちが高まって行動が大胆になるところがあり、周りに相談もせずに大きな決断をするなどして後悔することが多い。反対に一旦悩みはじめたら、とことん気持ちが沈んでしまう。食事もとらず、周りとの関わりもしなくなり自分の殻に閉じこもる。今は気分は沈んでいるものの少し応じてくれるようになっている。周期的にこのような感じになるので、もう少し気分のむらがおさまるようになってもらいたい。受診した方がいいんでしょうか?

 

→ 双極性障害の疑い?

 

双極性障害とは、そう状態とうつ状態の気分変動が周期的に出現する病気です。そう状態では、気分は爽快で、夜もほとんど眠らなくても平気だったり、新しいアイデアが次から次に浮かんできたり、色々なことに自信をもってエネルギッシュに取り組んだりします。これだけを聞くと、「そう状態って好ましい状態じゃないの?」と思うかもしれません。確かに本人に尋ねると「ものすごく調子がいい。何も問題はない」という返事が返ってきます。しかし、自信過剰で言動が誇大的になってしまったり、人の意見も聞かず反発して怒り出すことが増えたりします。また後先を考えずに衝動的に行動してしまうため問題も生じやすく、周囲が困ってしまいます。そう状態での振る舞いによって社会的信用を失うことになり、家族をはじめ周囲との関係を損ねてしまうため、早期の治療が大切だといえます。