通信室

アルコール依存症からの回復 Eさん第1話

2023.04.07

<私は、こうしてアルコール依存症から回復した>

 

ケース④女性 Eさん

 

第1話~飲酒の問題が起こる前の話~

農業で生計を立てていた両親のもとに7人兄弟の6番目(三女)として生まれた。家族の仲は良かった。私がわがままを言ったり、兄弟ケンカをしたりすると母親からよく家の隣の蔵に入れられていた。私は我が強く「ごめんなさい」を早く言わなかったので、朝まで蔵に入れられることもあった。家でぶどうを栽培していて、そのぶどうから家族が飲むためのワインを作っていた。みんな疲れた時に飲んでいた。誰がいつ飲んでも何も言われなかった。

私は15歳の頃、勉強で疲れている時だけ飲むようになった。あとは正月に盃1杯の日本酒を飲むくらいだった。妹は13歳ですでに飲んでいた。もちろんその頃からひどく飲んでいたわけではなく、学校の日は部活で汗を流し、休みは友達と山に入ってきのこや木の実をとって遊ぶ中学生活を送っていた。

高校受験前に県外で高校を持っている工場の広告を観て興味を持ち、進学を決めた。職場の寮に住み、自転車通学をして朝から昼まで学校、昼から夜まで仕事という生活をしていた。その生活を続けていたら10カ月で体を壊してしまい退職、学校は中退し地元に帰り治療をすることにした。

元気になり、また他県で働きながら高校の勉強を再開した。2年で卒業し、卒業後2年働いた頃に母が病気になり帰郷した。母の代わりに実家で農業・家事をし、母の体調が戻った頃、23歳で見合い結婚した。高校入学から結婚まで、アルコールは一切飲んでいなかった。

 

[ARPスタッフのコメント]

女性Eさんのストーリーを紹介します。昭和中期の頃でアルコールに関する法律や社会の認識が現在とは異なっていたようです。個人的には農家で普通に自家製ワインが作られていたこと(現在酒類を製造する為には税務署への申請、免許の取得が必要)に衝撃を受けました。

Eさんは勉強熱心で家族想いの高校生でした。アルコールとの出会いは15歳という早い時期でしたが、飲酒が若いうちから習慣になったり、飲酒にまつわるトラブルを起こしたりすることは全くありませんでした。