通信室

アルコール依存症からの回復 Eさん第2話

2023.04.22

<私は、こうしてアルコール依存症から回復した>

 

ケース⑤女性 Eさん

 

第2話~飲酒の問題が出始めた頃~

結婚し、夫の両親と一緒に住む生活になった。夫の両親ともうまくいってなかったし、夫にもいろいろ不満があった。夫は一人息子で、外で働いたこともなく、私から見て甘やかされて育ってきた人だった。両親と農業をしていたが、夫が一生懸命働かないのが特に不満だった。私も農業をさせられたが、お金はほとんどもらえなかった。

3人子どもが産まれたが、家事・育児・仕事におわれるだけの毎日だった。「子どもを育てるためには両親が必要」という考えがあって、ずっと「自分が犠牲になるしかない」と思い耐えていた。子どもの高校卒業が待ちきれなかった。

33歳の頃、精神的にひどく参っていた。家には夫と夫の父が飲むために大量に置いてあった酒が気になるようになっていた。夏の暑い日に、家の敷地内の牛舎の2階のスペースに家の瓶ビールをこっそり持ち込んで、1人で飲んだ。飲んだ直後から数時間は少し気が晴れた感じがあった。その次の日から家族の目を盗んで毎日キッチンで飲むようになっていた。飲む時間は昼だったり夜だったりしたが1日瓶ビール1本という量でしばらく続けられていた。

酒を飲んだ時は多少気持ちが落ち着いたが、居場所がないような、誰も味方がいないような寂しさ、ひどい落ち込みが起こるようになった。毎日死ぬことも頭をよぎるようになった。精神を病んでいる自覚があり、精神科に行ってみようと思い受診の予約をとった。

 

[ARPスタッフのコメント]

Eさんは夫の実家でひとり苦痛に耐えながら、家事・仕事・育児をこなされていました。当時は支えてくれるような人や相談できるような人もなく、心の疲れや痛みを紛らわすためにアルコールを使い始めました。実際に気持ちが一時的に楽になるという効果が得られていましたが、アルコールを使っても現状は変わらず毎日飲むようになりたちまち飲む量や飲む時間のコントロールを失ってしまいました。