通信室

アルコール依存症からの回復 Dさん第2話

2022.11.04

<私は、こうしてアルコール依存症から回復した>

 

ケース④女性 Dさん

 

第2話~初めての精神科入院まで~

27歳くらいの時、いつも何となく不安だと感じるようになった。不安な気持ちは飲むと落ち着いていたので社員寮に帰ったらすぐ飲むようになった。量も確実に増えていたが、病気だとは思わなかった。「ちょっと人より量が多いだけ」と理解していた。

そのまま飲むのを続けていたら顔が腫れたり、肌の血色が悪くなったりするようになり、会社の人に勧められ、内科を受診した。内科で飲み過ぎを指摘され薬をもらったが、薬を飲みながらアルコールも飲んでいた。28歳頃、飲まないと眠れなかったり、仕事中にアルコールの事を考えたりするようになった。その頃自分はアルコール依存症なのだろうなとは薄々気づいていたが、仕事はできていたので、自分は病気の中でも「私は軽い方」思っていた。空腹で飲むのが好きだったし、飲んでいる状態のほうが調子が良いと感じた時期もあった。だんだんひどくなって、仕事中にも手が震えるようになり、それを止めるために職場で隠れて飲むようになっていた。必死に隠していたつもりだったが、周りは気づいていたかもしれない。路上で血を流して寝ていたり、飲酒運転でガードレールに車をぶつける事故を起こしたりしたこともある。

29歳の頃に朝から起き上がれず、食事もとれず、トイレだけしか行けない状態になったことがあった。異変に気付いた妹がアルコールの治療をしている精神科病院を探してくれ入院することになった。

 

 

 

[ARPスタッフのコメント]

目立ったトラブルもなく飲酒を続けられてきたDさんでしたが、20代の終わりには仕事中にもアルコールの事を考える(渇望)、アルコールが体から切れる時に起こる手の震え(離脱症状)、飲む量や場所、飲んだ結果のコントロールができない(コントロール障害)などの症状が出現していました。また、ケガをしたり、飲酒運転で事故を起こしたりといろいろな問題が起こるようになりましたが、否認の心理が働いていて、当時のDさんはアルコールが問題とは考えてはいないようでした。