こころの余裕の大切さ ~介護ストレスとレスパイトケア~
2022.09.07
台風が過ぎ、涼しさを感じるようになった中庭の木の枝に、ハトが巣を作り、卵を温めています。しばらく前から巣作りをしていましたが、今回台風の影響を受けずに済んだようでスタッフもほっとしているところです。
さて、昨日の長崎新聞に昨年度の県内の高齢者虐待件数(速報値)の記事が掲載されていました。家族らによる虐待件数は178件で、コロナ禍による介護サービスの利用控えや外出自粛により介護疲れやストレスが増大していることも影響しているようです。
「家族に介護が必要となったときにお世話をするのは当然である/しなければならない」という考え方はとても尊いものだと思います。しかし介護は非常にエネルギーが必要で、介護する家族は大変ストレスフルです。だからこそ毎日の介護の中で、余裕があれば受け流せるような言動にもついつい反応してしまいます。
「レスパイトケア」という言葉があります。レスパイトとは「休息」「息抜き」のことで認知症の高齢者等を在宅で介護するご家族の負担を軽減するための「家族支援」の意味で用いられます。当院では認知症のデイケア「花みずき」を開設しています。認知症を抱える方が心身機能を維持するためのリハビリテーションの場としてはもちろん、それを支えるご家族が介護疲れでストレスを抱え込まないための家族支援の役割も果たすことができればと考えます。高齢者虐待の問題においても、まずは介護をされる方とそれを支えるご家族が、こころに余裕をもてることが何より大切だと感じます。