通信室

アルコール依存症からの回復 Aさん第3話

2022.01.26

<私は、こうしてアルコール依存症から回復した>

 

ケース①男性 Aさん

 

第3話 ~入院からミーティングに参加するまでの話~

半年くらいの期間の記憶がなく、記憶が無い状態で入院になり、入院してもしばらく記憶が戻らなかった。記憶が戻ってすぐの頃は自力で歩けないほど弱っていて、歩行器を使ったり手を貸してもらったりしないと歩けない状態だった。鏡で自分の姿をみると別人と思うくらい痩せていて、体重計で測った時に70キロ近くあった体重が48キロに落ちていた事にもびっくりした。歩けるようになった頃にアルコール治療の担当スタッフからアルコール依存症のミーティングに出る事を勧められた。手が震えたりはしたことは無かったからアルコール依存症ではないと思っていたが、全くアルコールに問題が無いとは思っていなかったので、出てみることにした。

最初は仕事と家族の関係がうまくいかなくなったストレスで飲み方がおかしくなっただけと思っていた。退院したら量を減らしたり、飲む日を減らしたりはしながら飲もうと思っていた。自分の周りはよく飲む人ばかりで、仕事をうまく進めるためにも飲む必要があると思っていた。酒の席に誘われることを断ったり、勧められた酒を断ったりすることができないことだと思っていた。毎日は飲まなくても宴会の時とか結婚式とかそういう時だけは少しは飲むつもりでいた。これまでのようには飲まないから、ちょっとくらい良いだろう、周りもそんなに悪いとは思っていないはずと思っていた。・・・第4章に続く。

 

[ARPスタッフのコメント]

アルコール依存症は「否認の病」とも言われています。Aさんの場合も「否認」が存在していました。食事も十分に摂らず飲み続け、長い時間記憶を失い、身体的にも危険な状態になりながらも飲む生活に戻ることを望んでおり、アルコールが問題であることを完全には認める事が出来ていませんでした。ただ「全くアルコールに問題が無いとは思っていない」というところは回復に向かう大きなポイントだったように感じられます。