通信室

アルコール依存症からの回復 Fさん第5話

2024.06.03

<私は、こうしてアルコール依存症から回復した>

 

ケース⑤男性Fさん

 

第5話~入退院の繰り返し~

入院した内科に自分のようにアルコールに問題がある2人の人に会った。2人とも肝硬変と診断されていて1人は「職場で何回も吐きながら仕事をしていた」もう1人は「ウイスキーを飲みながら仕事をしていた」と話してくれた。その話をきいて「自分はそこまでいってないけど、飲み続けたらそうなるんだな」と思って聴いていた。自分の退院後に2人とも亡くなったと噂で聞いた。

入院2カ月で退院。主治医に「ビール1本くらいは飲んでいいですか?」と聞いたら「いいですよ。」との返事。退院してすぐ一人で退院祝をしたら一晩で入院前と同じ状態になった。アル中は肝臓の病気と思っていて治っていないと判断し、一晩飲まずまた内科に行き2カ月入院させてもらった。

2回目の内科退院後、会社に戻らないといけないこと、親兄弟への申し訳無さ、自分の未来を悲観しパニックになり、車の走る道路に飛び込んだ。2日後に気づいたら整形外科に入院していた。右肩の脱臼と頭蓋骨骨折と説明された。入院して1か月くらいした頃に外出して酒を持ち込んで飲んでいる患者さんを見て、自分も外出して日本酒の紙パックを買って飲んだ。それくらいの量では満足できず、退院を早めてもらった。

退院後2週間仕事に行かず、ホテルに泊まって飲み回った。会社から実家に電話もあった。金が底をつき、退職金で酒を飲もうと考えた。会社に退職の意向を伝えると「今日中に寮を出ろ」と言われた。ウイスキーの瓶だけでゴミ袋が2袋出た。退職金の130万円は2カ月で飲み回って使い切ってしまった。

 

[ARPスタッフのコメント]

Fさんが内科の入院で出会った方二人はFさんの退院後次々に亡くなってしまったようです。ある調査では、アルコール依存症で入院し、退院後5年で30%の人が、10年後には50%の人が死亡しているという報告があり、アルコール依存症の5年後の死亡率が胃がん(およそ25%)や大腸がん(およそ15%)よりも高い数字となっています。肝硬変で亡くなる人が多いですが、事故で無くなる方も多いようです。