通信室

アルコール依存症からの回復 Dさん第6話

2023.01.13

<私は、こうしてアルコール依存症から回復した>

 

ケース④女性 Dさん

 

第6話~退院から現在~

退院して半年くらいはきつかった。「家族や周りの大事な人達を安心させたい。だからアルコールを止めたい」と繰り返し思っていた。すぐに仕事に復帰したが、出られるミーティングにはこまめに出ていた。家族経営の仕事で「(ミーティングの日は)仕事は休ませてね」とお願いしている。仕事から強制的に離れられるのも気分転換になっていたし、行き帰りで買い物をして帰るのも楽しかった。退院して半年くらい経った頃からアルコールの事をあまり意識しなくなったように思う。酒以外のことでは音楽を聴いたり、ドラマを観たりするようになったのが変化だと感じる。コロナ禍前は家族で温泉や旅行に行くのが楽しみだったが、そういうことができない状況になってしまった。今は休みにおいしいものをテイクアウトすることが些細な楽しみになっている。

飲んでいた頃は母親が私が飲んでいないかどうかをずっと気にしていた。一緒に住んでいる弟は口も聞いてくれなかった。今は母からアルコールの話題が出ることなく安心してくれているし、弟とは話せるようになった。最近、私が疎い音楽のダウンロードの方法を弟が丁寧に教えてくれた。普通の関わりをしてもらえていることが今はすごく嬉しい。

逆に仕事の事とかで頼りにされるようになってきている事にも喜びを感じる。私が努力しているからではなく、家族の支えで止めさせてもらっているんだと思う。たまにイライラすることもあるが、今は飲みたいと思うことは無くなったし、悩み事は主治医の先生にアルコールの事はミーティングで話して発散しながらやっている。

 

[ARPスタッフのコメント]

アルコール依存症は家族への影響が大きい病気です。Dさんのご家族に関してもご両親がお酒を飲ませまいと苦慮されたり、妹さんが病院を探したりと大変な努力や辛い気持ちを持っておられるようでした。しかし現在はDさんにアルコールの問題があることを理解しながらも平穏な生活が取り戻せているようです。ミーティングでは過去の状態や飲まなくなってからの変化などを語り、徐々に気持ちの安定を取り戻されているようでした。