通信室

アルコール依存症からの回復 第14話

2022.07.27

<私は、こうしてアルコール依存症から回復した>

 

ケース③男性 Cさん

 

第3章~入退院を繰り返していた頃~

体の調子が悪くかかりつけの内科の先生の診察を受けに行ったら、目の前で吐血しそのまま入院。退院後に精神科病院に入院することを勧められた。ちょうどその頃娘から結婚したという報告の手紙と子どもの写真をもらっていて、このままじゃ会わす顔が無いと思い、はじめて「酒を止めよう」と思った。

最初に入院した病院では7年で10回以上の入退院を繰り返した。退院して、半年くらいは飲まずにいられるし、タクシーの仕事ができる期間もあったが、「ちょっとくらい大丈夫だろう」と1杯いれると連続飲酒に入り、出勤できなくなる日が続いて退職になった。最初の頃は金もあって問題なく酒を買えていたが、金がなくなってくると、布団をひっくり返したり、洋服のポケットをあさったりして家の中の金を探した。500円でも出てくると、天にも昇る気持ちだった。最後は5円とか1円をかき集めて酒屋にワンカップを買いに行き嫌な顔をされたこともある。

施設に退院して、断酒会に通い、1滴も飲まず、丸2年断酒できていた時期があった。これで大丈夫と思い、家族が住んでいた県でタクシーの会社の面接を受ける事になった。その会社の担当者に面接の前日のホテルを取ってもらい「ゆっくり楽しんでください」と系列店のスナックを紹介された。2年飲んでいなくて、自分が病気であることも忘れてしまっていた。軽い気持ちで紹介されたスナックに向かい、1杯飲むとその後の記憶が無く酔いつぶれて、ホテルに運んでもらい、そのまま目を覚まさず面接をすっぽかしてしまった。そのまま飲み続け、ホテルの近くの公園で倒れていたところを警察に保護され、親や妹夫婦が迎えに来てくれ、再入院になった。

これまで入院していた病院とは違う精神科病院に入院することになったがそこでも入退院を繰り返した。ひどい時は退院して、帰ってからすぐ買いに行って飲み泥酔し、入院の時に持って行った退院時のバッグを開けることなくまたそのバッグを持って再入院したこともある。

 

[ARPスタッフのコメント]

2年断酒し健康な体や健康な考えを取り戻し始めていたCさんでしたが、スナックでの1杯で病気に引き戻され、健康な考えを奪われてしまいました。アルコール依存症は「進行性の病気」という側面があります。飲み続けると進行することは想像できますが、飲まない期間があっても進行が進んでいるという事が他の当事者の方々からもよく聞かれます。進行の怖さ、1杯の重さを痛感させられるストーリーだったと思います。